最近読んだ本 2018/01/01-2018/01/31
/最近読んだショウペンハウエルの”読書について”に「本を読むばかりだと自分で思考しなくなったり他人の意見を自分の意見と勘違いしてしまうので読むだけじゃなくて自分で考えるようにしないとダメ」的なニュアンスのことが書かれていたので読んだ本の記録をして少しでも自分で考えたフリをしようと思いこの文章を書いている。
- 作者: ショウペンハウエル,Arthur Schopenhauer,斎藤忍随
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/07
- メディア: 文庫
- 購入: 27人 クリック: 297回
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去年読書メーターを始めて読んだ本と1行程度の感想は記録しているが、どれを見ても「おもしれ〜」と「すごいおもしれ〜」しか書いていないせいで時間を置いてから読むとなにが面白かったのか自分ですら意味不明だったのでログとして残していこうと思った。
読んだ順に叙述していけば自分がその時なにに興味を持って本を読んでいたかも可視化できるようになって後から見返した際に楽しそうなのでそんな感じで書いていこうと思う。
利己的な遺伝子
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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かれこれ一年前くらいに買ったが序文を読んだ段階で読むのが面倒になり寝かせていたが年始に意を決して読んだ。
学がないので学術書の類としてではなくあらすじにも書かれてる通りただのサイエンス・フィクションとして読んだがこれがまぁ面白かった。平たく分かりやすく書かれており、専門用語を極力使わずにバカにも分かるように比喩や擬人法が多く使われていたので楽しく読み進める事ができた。とにかく出てくる文章が全部カッコいいのも読んでいて楽しかった。
われわれは遺伝子機械として組み立てられ、ミーム機械として教化されてきた。しかしわれわれには、これらの創造者にはむかう力がある。この地上で唯一われわれだけが、利己的な自己複製子たちの専制支配に反逆できるのである。
p.311
ふるえるほどカッコいい一文。
とにかく興味深い、知的好奇心をくすぐられる内容ばかりだったが、一番面白いと感じたのはもともとこれを目当てにこの本を購入したというのもあったが、やはり11章のミーム論だった。
本書では遺伝子とは自己複製子(自らの複製を作る能力を持つ過程)であると一貫して記述されているが、そこで人類が後世まで伝えてきた価値観や物語、文化も自己複製子ではないか、というもの。 ミームという単語をモヤモヤと曖昧に理解していたが、この項を読み少し理解が深まった気がした。
ミーム論を目的に本書を読んだが、万人向けに書かれたためか思ったよりもそこに焦点を当てた項が少なく、動物社会学的な内容が多かったので今度はもう少しミームについて深く掘り下げている本が読みたい。(バカでも読めるオススメの本があれば教えてほしい。)
狂気 (〈一冊でわかる〉シリーズ)
- 作者: ロイポーター,Roy Porter,田中裕介,内藤あかね,鈴木瑞実
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/11/28
- メディア: 単行本
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タイトルが静かにくるっていてカッコよかったので購入して読んだ。
正直な話なにも理解できなくて笑ってしまった。
西洋史における狂気の歴史、端的に言えば神々や悪魔などオカルティズムとして認識されていた狂気、狂人を哲学や心理学、医学の範疇で捉え、人が向き合っていく歴史を一冊にまとめたもので、中々に興味深い内容が多かったがいかんせん前提となるフーコーだったりニーチェだったりの知識がなく、ただページをめくり文字を眺めるだけになってしまった。
セルフ・クラフトワールド
芝村裕吏氏がハヤカワ文庫から出版した全三部作のSFライトノベル小説。
MMORPGに生物の進化の概念を組み込みゲーム内の時間経過速度を現実の100倍にした結果、現実を遥かに越える速度で生物が進化を遂げ、その生物のメカニズムを元に現代社会に技術が逆輸入されるというストーリィのSFの小説だがこれがまたべらぼうに面白かった。
「よくできたゲームは、異世界と変わりがありません。〈セルフ・クラフト〉は日本が保有する異世界であり、異世界の特性を使えば日本を、あなたがたを救うことが可能です」
セルフ・クラフト・ワールド 3 p.230
1巻でAIと人間の恋愛を描き、2巻でゲームの外である現実世界を描き、3巻で現実を越えるゲームが現実をどのように変革していくかを描くという、とにかく盛り沢山な内容でよくもまあ3巻でここまで世界を描ききってしまったなと感動するしかない。
話としても狂うほど面白かったが、あとがきに書かれていた”人間を複雑過ぎるものとして規定したいだけではないか疑惑”という一文がめちゃくちゃ気に入っている。
最近自分が読んだSFでは人間を神聖視し、人間と被造物、無機物の間に完全に一線を引いているものが多かったので、自分達が思っているほど人間は複雑でブラックボックスではないという一つの解釈が書かれていたのが嬉しくて胸がすくような思いになった。
前述した利己的な遺伝子に書かれていた内容とも理解するものが多く、読むタイミングも噛み合っていたと思う。
アーキテクチャの生態系
アーキテクチャの生態系: 情報環境はいかに設計されてきたか (ちくま文庫)
- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/07/08
- メディア: 文庫
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mixi、2ちゃんねる、ニコニコ動画、ケータイ小説、初音ミク…。なぜ日本には固有のサービスが生まれてくるのか。他の国にはない不思議なサービスの数々は、どのようにして日本独自の進化を遂げたのか。本書は、日本独自の「情報環境」を分析することで、日本のウェブ社会をすっきりと見渡していく。
あらすじより
様々なウェブサービスを社会分析の観点から考察した本。2008年出版の本で現代から考えると少し古い内容だったり的を外れた流行予想だったりするがめちゃくちゃ面白かった。
ウェブサービスをアーキテクチャ(建築や場)、利用するユーザを生物として観測した際、アーキテクチャは生物に対してどのような影響を持つのかという形而上の生態系のような内容をメインに取り扱っている本。その中で書かれている、開発者の意図しない形でwebサービスは利用するユーザを水面下のうちに規定し、ユーザに無意識のうちに規範を守らせる、といった分析がSFの設定ぽくてなぜだか分からないがめちゃくちゃワクワクした。
これから読む本
利己的な遺伝子の影響でセレンゲティ・ルールを購入したので2月中に読みたい。
これも動物社会学を主題とした本のようなので楽しみ。
前述したがミーム論についてももう少し理解を深めたいのでいい入門書があれば是非教えていただきたい。
あとは最近円盤皇女ワるきゅーレのアニメを視聴した際何故か脚本を書いていて思わず笑ってしまった月村了衛の小説である機龍警察を読んでいる。設定も気になっていたが強い女が女に向ける感情を描いた小説として読んでも面白いと噂なので楽しみ。
あとは最近アニメばかり見ているのでもう少し構図や映像技術などから作り手の思考や感情が読み取れたら更に面白くなるのではと思い映像の原則も購入した。
あらためて述懐してみるといかに本を読んでなにも考えていないことが分かって軽く凹んでいるのでもう少し頭を使って本を読めるように特訓しようと思った。
可能な限りこのようなまとめは続けていきたい。