最近読んだ本 2018/04/01-2018/04/30

/今月はそれなりに本を読んだ。

 

マルドゥック・アノニマス

冲方丁のマルドゥック・シリーズ完結編であるマルドゥック・アノニマス2年ぶりの最新作。

今までのシリーズの巻数から考えると今巻が最終巻だと思いこんでいたがまだまだ序章であることが判明してめちゃくちゃにテンションが上がったが、それと同時に少しずつシリーズ自体の完結に近付いてきていることがわかる内容で少し悲しい気持ちになった。

ネタバレになるので詳しくは書けないが、マルドゥック・アノニマスはシリーズの完結編である作品なのでシリーズの伏線を全て回収するであろう内容に仕上がっており、登場するキャラクタや組織、台詞回しに至るまでシリーズファンなら気が狂うほど面白い。特に今巻最後のあるキャラクタの台詞がマルドゥック・スクランブル1巻にあった台詞のセルフオマージュかつ完璧な台詞でよくもまあ15年前に出版した本の内容をファンが覚えていると信じてこの一文を書いたなぁと思わず笑ってしまった。

これは主観的な話だが、文章が過去の冲方作品より上手くなっていて状況理解がかなりスムーズにできて読みやすかったのも良かった。*1

 

「あたしはあんたがこれからもずっと右回りになるよう願ってるのさ。有るべき自分であればいい。それができているか、いつも考えな。あんたの周りにあるものが、みんな右へ回っていくようにね。」

マルドゥック・アノニマス3 p.144

とにかくいいセリフ。 

 

JORGE JOESTAR

JORGE JOESTAR

JORGE JOESTAR

 

 舞城王太郎ジョジョノベライズ。

正直な話、舞城王太郎の書く小説は2.3作しか読んでいないが個人的にはあの疾走感のある文体が肌に合わず、JORGE JOESTARも購入してから2年ほど寝かしてしまっていた。先月に意を決して読んだが今まで読んだ作品の中で一番ハチャメチャではあったがまぁまぁ面白い方でよかった。

ジョジョアベンジャーズのような作品だがそれだけで終わらず、各部のボスの時間を操作する能力を上手く物語にネジ込みギリギリのところで整合性を持たせているところや、虹村不可思議と虹村無量大数のような完全に読者を笑わせにきている名前など、とにかくジョジョが好きなんだろうなぁという暖かい気持ちになった。

インターネットのどこかでこの作品のことを「ジョジョをサンプリング素材としたブレイクコア」と形容されているのを見かけたが、まさにその通りの内容だった。

 

あまいゆびさき

 百合姫ノベルで連載されていた”女の女に対する女の感情”小説。

こういうミクロな感情を題材にした小説を最近読んでいなかったので読み始めは馴染めなかったが、ミクロな感情を描写するのにガッチリハマった文章や構成であっというまに読んでしまった。結末の急展開ながらスッキリとした読後感がめちゃくちゃ気に入っている。

自分が読んだのはハヤカワ版だが、百合姫ノベルから出ているバージョンの表紙がとてつもなくいい。

あまいゆびさき (Yuri‐Hime Novel)

あまいゆびさき (Yuri‐Hime Novel)

 

 

 アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読

キルラキルリトルウィッチアカデミアの制作で有名な株式会社トリガーの設立者である作者による、制作進行という仕事を分かりやすく解説した読本。SHIROBAKOというアニメーション制作を題材にしたアニメで制作進行という役職にもフォーカスされていたがイマイチなにをやっている仕事なのか分からなかったのでおおよその業務内容が分かりやすく把握できてよかった。

内容も興味深かったが正直な話それよりもアニメに関わる人の余りにも劣悪すぎる労働環境ばかりが気になってとにかく恐ろしい気持ちになった。

後、参考資料としてリトルウィッチアカデミアの設定資料集などが掲載されていたのもよかった。

 

 ビアンカ・オーバーステップ

ビアンカ・オーバーステップ(上) (星海社FICTIONS)

ビアンカ・オーバーステップ(上) (星海社FICTIONS)

 
ビアンカ・オーバーステップ(下) (星海社FICTIONS)

ビアンカ・オーバーステップ(下) (星海社FICTIONS)

 


文学界の巨匠・筒井康隆が書き上げた唯一のライトノベル作品、『ビアンカ・オーバースタディ』。その“正統なる続篇”を引っさげ、筒井が認めた破格の新人・筒城灯士郎の才気がついにヴェールを脱ぐ!

天体観測の最中に突然消失してしまった好奇心旺盛な超絶美少女・ビアンカ北町。妹・ロッサ北町は愛する姉を見つけ出すため、時空を超えた冒険(オーバーステップ)を始める――!

星海社FICTIONS新人賞受賞の超弩級SF、上下巻同時刊行!

妹にとって不要なものは――姉以外のすべてだ。

 amazonの商品紹介から分かる通り、筒井康隆の「ビアンカ・オーバースタディ」の続編を別の作者が別の出版社の新人賞に応募し、それが書籍化されたものである。この作品に関わった人は皆頭がおかしいのか?

内容もとにかく頭のおかしい小説だった。 「農協月へ行く」ばりのエッジの効いた内容に適当に斜め読みしたライトノベルのオマージュをぶちこんでギリギリのところで作品として完成させた「ビアンカ・オーバースタディ」の続編と名乗るだけあって、異世界転生やら異能バトルやらメタ、パラ・フィクションやらSFやらセカイ系やらとにかくライトノベルにありそうな要素やオマージュを闇鍋のように煮詰めた作品でありつつ、実はこの作品も筒井康隆が書いているのではないか?と思わせる程に文体模写や作風模写が上手く、普通に感心した。

疾走感溢れる文章で展開される物語から最後の章へ至るまでの手腕が強引ながらめちゃくちゃ美しく、読み終えた後放心してしまった。

──大切なのは、あなたが最後まで、これを読みきるということ。

ビアンカ・オーバーステップ 下 裏表紙

筒井康隆フォロワーではない筒城灯士郎としての全く新しいタイプの小説も読んでみたい。可能であれば今作のようなワイドスクリーン・バロックモノを。

 

これから読む本

今は神林長平トリビュートを読んでいる。(虚淵玄敵は海賊をフューチャーした短編がめちゃくちゃよかった。)

神林長平トリビュート (ハヤカワ文庫JA)

神林長平トリビュート (ハヤカワ文庫JA)

 

 あと、最近色々と思うところがあり買った森博嗣読書の価値も少しずつ読み進めている。

読書の価値 (NHK出版新書 547)

読書の価値 (NHK出版新書 547)

 

 

*1:元々かなり文章は上手いがマルドゥック・アノニマス2やテスタメント・シュピーゲルは内容や情景が複雑すぎて理解に苦しむ場面もあったので。