最近読んだ本 2018/06/01-2018/06/30
今月はそこはかとなく本を読んだ。
人を動かす
- 作者: デールカーネギー,Dale Carnegie,山口博
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1999/10/31
- メディア: 単行本
- 購入: 174人 クリック: 3,319回
- この商品を含むブログ (618件) を見る
いっちょ自らの意思で自己啓発書でも読んでみるかと思い読んだ。
「常に笑顔でいて人当たりのよさそうな態度を取ることを心がけ、自分の話ばかりするのではなく人の話をよく聞いてみよう」みたいな人間関係を円滑にするための処世術もとい教訓が口触りの軽い文章で延々と羅列されていてよかった。
まぁまぁ面白く読めたし納得できる内容ではあるけれど、自分の意志で読む自己啓発書でもめちゃくちゃ上滑りしたので人に読むよう強制されても全く心に残らないんだろうなぁと思った。
グリーン・レクイエム
沙耶の唄の元ネタだと知って何の気なしに読んだ。(沙耶の唄をプレイしたことはないが)
時代感がすごいティーンSFで大人になってから改めて読む本ではなかったな……という気持ちになった。
グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉
飛浩隆の長編。
今まで短編しか読んでいなかったのではじめての長編小説だったがこれがまたメ〜チャクチャ面白かった。
人間が訪れる事が無くなり廃棄された仮想現実上でのAIの意識を描くという題材や設定は割と古典的だなぁと思いつつ読み進めていたら2002年に出版されていたことを知って本当に驚いた。
どういう脳みそをしていればこんなに写実的で美しい文章が書けるのだろうか、というくらいとにかく文章が上手く、今まで読んだ数多くの本の中でもより白眉で、ページをめくってもめくってもいい文章が出てくるので夢中になって読んだ。
町はにぎやかだった。魚が水揚げされたばかりだった。中央広場では荷台があちこちで店を開いていて、ピカピカ光る魚や貝がどっさり積み上げてある。売り子は声をはりあげ、客はほほえんで耳を傾けている。ジュールとジュリーは石畳の広場を横切った。魚や貝を焼く匂いの帯を横切り、暗い路地にかけ込むと、一番奥に小さな自転車屋がある。
グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 p.23
なにげない情景描写一つとってもあまりにも無駄がなさすぎる……いい文章……
アリスマ王の愛した魔物
天冥の標のような大長編も勿論のこと短編もめちゃくちゃ上手い小川一水の短編集。
予想していた通りめちゃくちゃ良かった。
バイクに搭載された人工知能が主人公の「ろーどそうるず」は、AIのモチベーションという割とありがちなテーマだけではなく、ホイールやエンジンなどの感覚器しか搭載されていないバイクがどういう風に世界を入力し自らの知能を通して出力するのかというのが文章でしか描けない作品で良かった。
後、自律運転車が事故を起こした場合誰が責任を取るのかというタイムリィな話題を主題に据えた「リグ・ライト―機械が愛する権利について」はタイトルから分かる通り人工知能の愛を取り扱った作品だが、人工知能が人間に与えられている権利を獲得する話を読むと無条件で震えてしまう人間なので本当に良かった……
小川一水の作品全てに言えることだが、人間とそれ以外を描く際に完全に二分化するのではなく細かいレイヤ分けをした上で絶妙な塩梅で区別をするのが本当に上手いな、と感じた。
魚舟・獣舟
華竜の宮、深紅の碑文のオーシャン・クロニクルシリーズで有名な上田早夕里の短編集。
表題作が前述のオーシャン・クロニクルシリーズの前身とも言える作品でそれ目当てに読んだが他の作品も良かった。
SFだけでなくダーク・ファンタジー要素の強い作品も持ち前の設定構築力の高さで短編なのに破綻せずに書ききっていて巧みだなぁという印象を覚えた。
全編通して「人間とはなにか?」が主題に据えられていたのも私自身人間が大好きなのでよかった。
安達としまむら 2-4巻
- 作者: 入間人間,のん
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2013/09/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (9件) を見る
先月1巻を読み、感情描写の生々しさに思わず目を背けながら読んでいたが、想像していた通り巻を増すごとに二人の関係が進み続けていて心がめちゃくちゃになった。
全編渡ってとにかく情緒的ではあるが、中でも3巻で描写されていた「旧友と自分の変わってしまった関係性」の下りが人間誰しも一度は感じたことがあるであろう心情を的確に言語化していて感心してしまった。
これから安達としまむらは一体どうなってしまうんだ……
余談だがこの動画がめちゃくちゃ良かったので貼っておく。
これから読む本
最近約束の方舟を読んでいる。
後は刀使ノ巫女というアニメに完全に心が奪われてしまったので剣術や刀に関する書物を買い漁って読んでいる。
アニメがきっかけでこういった事柄に興味を持つのは少し恥ずかしい気もするが、新しい知識を得るきっかけになっているのは単純に素晴らしいことだと自分で納得している。*1